幸せですか?


世渡り上手な人。

高3の受験シーズンの時。
クラスの一人の女の子が医大の推薦に受かったと聞いた。

彼女は父親が医者。
何を隠そう、私が去年夏に火傷をして
手当を受けた先は、彼女の父親だ。
優秀な町の皮膚科医である。


首元に東〇〇大のストラップが見える。

ああ、お父さんも彼女と同じ大学だったのね。
年を経て、その事実を知った。


医大の推薦に受かったと聞いた時
凄いね!おめでとう!と声をかけたら
とっても嬉しそうにしていた。

推薦の試験内容はごく一般的な
面接とか論文だったと思う。

凄いな~と思って、
論文に何を書いたのか訊いてみると

産科医になりたいと書いた、と言っていた。

彼女は父親が皮膚科医だから
あ~皮膚には行かないんだねと話すと

産科って大変だから、志望者が少なくて
なりたい人は貴重なんだって。
だから、本当は産科志望じゃないんだけど、
そう書いたの。



これを聞いた時、私は一瞬絶句してしまい
あっそうなんだ~と返すことしか出来なかった。

多分、これは父親の助言なんじゃないか
私はそう思っている。



夏にお父様に手当を受けた時、
さすがに私のことは知らないだろうから
私、〇ちゃんと同級生なんです、と伝えてみると
え~!?〇高の?
と驚いた顔で、色々話してくれた。

彼女は今立派なお医者さんよ~と
横に居た看護師さんが言う。

近況は聞けたけれど、
今何科を専門にしているのかは
怖くて訊けなかった。


彼女の近況から察するに、
きっと今は幸せだと思う。


世渡り上手だね
この皮肉めいた言葉は絶対に本人に言えない。

心の奥に突っかかっていたモヤモヤを
数十年ぶりに開いてみる。


私は脚本は書けないけれど、
少しはネタの一案になるかもなと思い
今日は吐き出してみました。